書留。

壁打ち用です。

【了】ひかりの先に

輝きにばかり目をとられ、眩んでいた。

先程の虚無、虚空の闇よりよほど辺りは何も見えず、

ただ手を取られた腕の先を見る他に無かった。

眩む、眩む、眩む。

見えない筈の右眼すら、その圧倒的な光に。

「どこへ行く、刹那」

その名を呼んだ。

そしてその手の冷たさにようやく気付く。

「刹那、手が、」

温もりが無い。温かな光を携えているにも関わらず、

それは冷酷に手のひらの体温を奪う。

ああこれは、覚えがある。引き金を引く時、

指先から失っていく感覚。

それは熱伝導によるものだったか、

無くしていく人間らしい感情だったか。

歩みが突如終わる。

「ニール、生きてくれ」

そしてまた、さっきと同じ言葉を放つ。

「生きてくれ。……俺は、生きていけない」

それはどういう意味なのか。

刹那が笑みを浮かべる。

いつか見た、幼い頃の微笑みとはまた違っていた。

問い掛ける前に、刹那はある方向を指差した。

「……あれは、」

その眩むような光の中、ぽつりと人影が浮かんだ。

「ライル……?」

「いいや、違う」

よく見てみろ、と刹那は言葉を続けた。

ぼんやりとしたシルエットは、次第に鮮明になる。

……あの首筋、あの優しい腕、あの唇のかたち、

ああ、あれは、あれは忘れようと、抑え込んでいた、

おれ自身の感情、夢のあとさき、

目頭が熱くなる。

何故だ、どうして、どうしてだ刹那。

虚ろにそう何度も繰り返した。

鎖された時の狭間に迷い込んだとでもいうのか。

「ニール、願え、いきたいのなら、そう──」

そうして輝かしい光は、小さな粒子の雫となり、

雫は波となり、奔流となり、おれを苛む。


「願うのなら、おれは、おれが求めるのは、」


ただこの悪夢の終わりを。

例の特典映像のあれです(白目)