書留。

壁打ち用です。

【途中】リフレイン

何らかのあれのそれで、ニールを受け止めた(精神的な意味で)ライル。

それを見たアレルヤの話。

***

「──……はあ、」

深く息を吸って、吐いた。

もしかしたら周囲には溜息のように聴こえたかもしれない。

目の前にいる男を見て、アレルヤは、自分も前に進まなければいけないと感じた。

立ち止まってるつもりは無かった。

しかし、彼の言葉を借りるのなら。

それこそ「動いているふりをして安心していた」のかもしれない。

またもう一度、すぅ、と空気を吸う。

少し冷ややかな空気が唇を通り過ぎて、それを固く噤んだ。

振り仰ぎ、そして歩き出す。

「……スメラギさん、ラグランジュ3まで行く予定って組み込めます?」

「え?行くにしたって、2週間は掛かるわよ」

現状は停滞している。

緊迫した状況下では無いものの、かつてのゼロサムゲームの頃のように世界は人種差別といった軋轢が生まれていた。

「遅くなってもいいです。近くに行く事があれば、ぼくは、トレミーに」

「どうして?」

「忘れ物を迎えに」

ライルには突然に思えた。

自分の話から、どうしてアレルヤは急に。

理由を尋ねた。アレルヤはそれに答え、そしてブリッジを後にした。

「忘れ物なんて、無いはずなのに……?」

フェルトが呟く。

それはトレミーからトレミー2への移行作業に携わったメンバーは分かっていた。

「あの子、そんなに荷物あったかしら?」

スメラギだけが少し首を傾げる。

「いいえ、マイスターの荷物はあまり多くありませんから。誰の部屋にも何も残ってないはずです。」

大破したかつてのプトレマイオスは秘密保持のため基地に保存されている。

その多くは倉庫として使われているそうで、マイスターに限らず、今はもう誰の私物も残されてはいなかった。

「あ……でも、ロックオンの部屋は」

そうだ、そのままだ。

ロックオンの部屋は被弾しなかった。

もしかしたらそのままそこにいれば、彼は生き残ったのかもしれない。

そう思うのがつらくて、誰も彼の部屋に入ることが出来なかった。

「兄さんにも部屋があるのか?」

「そりゃあ、そうよ。今とおんなじで、みんなそれぞれに自室があるわ」

「じゃー、俺も興味あるな。折角だし掃除くらいするよ」

「クス……そうね、じゃあ、向かいましょうか。トレミーへ」

「久し振りですね、そっちに行くの」

「私のお酒も取りに行きたいしね!」

「お酒やめたんじゃないんですか!?」

「コレクターズアイテムと飲酒は別よ〜」

あと、祝い酒も。

そう言ってスメラギが笑う。

ライルもまた微笑んでいた。

***

あーとーで!