書留。

壁打ち用です。

your my...

どいつもこいつも眉間にシワを寄せてやがる。

かくいうおれも、その一人である。

時折目頭を押さえ、昂ぶる感情ごと抑え込む。

抑えられるうちは、まだ、大丈夫だ。

おれはまだ、大丈夫だ。

 

***

「缶コーヒー、ブラック。飲めるだろ」

とあるアジア系スラム街の調査ミッションだった。

マイスターの珍しい外での任務。しかも二人体制だという。

パートナーは刹那か?と思ったが、どうやら子供にも些かよろしくない場所らしく、かといって小綺麗な身なりを好むティエリアは衛生面で拒絶される。

今回のパートナーはアレルヤだ。

裾の長い黒色の中華長袍の下に、同じく黒の麻のボトムを重ねている。

反対に俺はバックパッカー風の出で立ちで、中間業者に取引を持ち掛けて「ワルイモノ」を売ってもらいに来た、という設定だ。

一日で終わるものだと思っていたが、時間が掛かる。

古めかしい自動販売機でコーヒーを買ったら、2つ出て来た(どうやらルーレットが当たったようだ)。

ホットのブラックを飲める奴で良かったと思った。

「……ありがとう」

「それ飲んでちょっと落ち着け」

――焦りが。

表面上には出ないが二人とも焦りが出ていた。

「ホッとする……」

缶を開けて、匂いを嗅ぐ。

そしてくぴりと小さく一口。

お互いに言葉には出さなかったものの、緊張していたのだ。

飲み進めて少し、アレルヤの表情が綻んでいる事に気付く。

いつもの困った表情とも違う、顔の筋肉が少し弛緩している。

寄せた眉も、力のこもった瞼も、少し目尻を綻ばせて。

「お前は、それくらいでいいよ」

「突然なんだい?」

「もう少し、肩の力を抜けってコト」

「……ぼく、そんなに固い?」

「まあ、かたっ苦しいといえば、そうだな」

「でも刹那やティエリアとは違う」

「そりゃあそうだよ、ぼくは2人より大人だもの」

「へえ、そうは思ってるのか」

「……なに?何が言いたいんだい」

「肩の力を抜いて、さ、おれの横に立っててくれ」

「……?」

「刹那は生き急いじまう。ティエリアは躓いて、立ち上がれなくなる」

「……いつか、そんな時がくる」

「そんな時、優しく声をかけてくれる奴が必要なんだよ」

「それは………………」

ぼくの役目じゃない、貴方がすべき事だ、きっとそんな言葉が続いたんだろう。

その言葉をおれは遮る。

「おれがそんな時は、お前に優しく隣に立っていてほしいって、思ったんだ」

「……!」

「思い詰めないでくれよ」

 

 

 

りはびり〜